私の騎士様
これから伶奈が行うのは、早乙女グループと肩を並べるほど有名で急成長しているグループの御曹司とのお見合いである。親同士が決めたことだが、恋愛をしたことがない玲奈は「これが私の運命だから」とそれを受け入れていた。

「旦那様、奥様、お車の準備ができました」

伶奈が両親に振袖姿を褒められていると、恵が部屋に入ってくる。そして、少し驚いたような顔で伶奈を見つめた。伶奈は「恵！」と言いながら、恵に駆け寄る。

「どう？私の振袖姿」

「とてもお似合いです。ですが、着物を着ている時の動きはゆっくりとですよ」

「また余計なことを言って〜！」

そう言いながらも、伶奈の顔は嬉しそうに口角が上がっている。ニコニコと笑う伶奈だったが、そろそろ家を出なければならない。

「伶奈、相手を待たせるといけないからそろそろ行こう」

「はい、お父様」

伶奈たちが玄関に向かうと、厳重なドアを恵がゆっくりと開ける。そして、「行ってらっしゃいませ」と頭を下げる。
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