私の騎士様

「お嬢様が笑顔でなければ、どんなに美しく着飾っても意味がないのです。笑ってください」

「……ありがとう、恵！」

恵の言葉が心に広がっていく。それはまるで、魔法のように伶奈の不安を消していくのだ。

「恵は伶奈にとって特別なんだな」

「さっきまで不安そうな顔だったのに……」

両親が微笑みながら伶奈を見つめる。伶奈は、先ほどの不安な顔が嘘のように笑っていた。

今日は、伶奈の婚約者が家に泊まりに来る日だ。婚約者は数ヶ月前、お見合いをした御曹司である。話が弾み、一緒にいて楽しいとお互いに思ったため、結婚を前提にお付き合いを始めることになったのだ。

伶奈の両親と相手の両親は大喜びし、伶奈が大学を卒業したら結婚式と入籍を行おうとすでに盛り上がっている。だが伶奈も、婚約者である御曹司との結婚を楽しみにしていた。

ドキドキしながら伶奈が待っていると、ベルが鳴り響く。恵が出迎えるために玄関へと向かう。その後を伶奈もついて行った。

「こんにちは、今日はお招きいただきありがとうございます」