余命1ヶ月の僕が君と最後にすること
キーンコーンカーンコーン

HR終了のチャイムご鳴り響き、僕は帰宅部一の速さで教室を飛び出した。電車に乗り込み、今は○○大学の前まで来た。

八重さんがいつ来るのかは分からない。

高校と大学では時間が全然違うだろうし。

待ち続け、30分ほど経った頃、

八重さんがパッとした笑顔で手を振ってくれた。

僕も手を振り返し

「今朝はありがとうございました」

という。

言うか迷ったが、

「八重さんに会いたくて一日中ウキウキして、急いで学校を飛び出して…こんな事久しぶりです。自分が自分じゃないみたいだ」

と伝えた。

八重さんはニコッと笑って

「嬉しいです!良ければこれから食事でもどうですか?」

と誘ってくれた。

「もちろんです!」

僕達は歩き出した。食事は学生の味方であるファミリーレストランに来た。

注文を済ませ、ずっと気になっていた事を聞いた。

「あの、いつから僕の事を?」

「やっぱり覚えてないんですね。私が気分が悪くなってしゃがみ込んでいた時、いつも窓際でボーッとしていたあなたが助けてくれたんですよ。それから。」

「…ごめんなさい、全く覚えてなくて…」

「いえ、気しないでください。今こうしてお話できてとっても嬉しいです。」

その後も八重さんはとても可愛くて、僕はこの人が好きなんだと自覚した。

ノートに書いた最期を誰かと過ごしたい、の誰かは八重さんがいいと思った。

そして同時に、余命の事は彼女には言わないでおこうと。
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