狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 飽きるまで傍に置いて欲しいという望みを聞き入れてくれたし。

 政略結婚という形ではあれど、大したメリットもないはずなのに、あの家から救い出してもくれた。

 もしかしたら、家の駒として育てられてきた美桜の身の上を不憫に思い、同情してくれているだけなのかもしれない。

 それでもいい。

 この九條尊という人のことを好きだというこの気持ちを大事にしたい。

 そういう想いから、心の底から願ったことだ。言葉に二言などあろうはずもない。

「はい。勿論です」

 美桜は即答しコクンと頷いて見せる。

 その刹那、端正な相貌を苦しげに歪ませた尊の柔らかな唇によって、強引に噛みつくようにして美桜の唇は奪われてしまっていた。

 だがそれだけではない。

 美桜の全てを奪い去るような深くて激しい大人なキスで翻弄しながら、尊の大きな掌は美桜の身体の至るところを這いまわる。

 その都度、美桜の白い肌と尊の指とが擦れ、甘やかな愉悦がジワジワと込み上げる。

 次第に視界と思考とが不明瞭になっていく。

 どんどん激しさを増していくキスのせいで、息継ぎもままならない。溢れかえった唾液で溺れてしまいそうだ。

 美桜が昨夜覚えたばかりの鼻呼吸を繰り返すのに必死になっていると、両膝を分かつようにして尊の脚が割り込んでくる。

 いつしか、自然と開いた脚の裂け目には、熱く滾った尊の欲望の化身が宛がわれていた。
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