狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
美桜は、そんな自分の身体の反応に戸惑うと同時に、それらを尊に見抜かれるんじゃないかと気が気じゃなかった。
そんなタイミングでキスを中断した尊に意地悪な低い声音で指摘されてしまい。
「キスと胸だけで、こんなにグチャグチャにして。腰まで揺らして催促してくるとは、処女のクセに、すっかり厭らしくなったな」
「////ーーちッ、ちがうっ!」
狼狽えた美桜は、見る間にカアッと全身を真っ赤に染め上げてしまう。
余りの羞恥に耐えかね、叫ぶようにして反論を返したものの、説得力なんて皆無だ。
尊に指摘された通りだから無理もない。
それでも、黙ってなどいられなかった。
ーーこんな風になったのは、尊さんのせいなのに。そんな言い草あんまりだ。
という思いだってある。でもそれだけじゃない。
一番の要因は、尊にとって自分が、ただの政略結婚の相手でしかないということと。
たくさんいるのだろう遊びの女性のうちのひとりに過ぎないということ。
つまりは、こんな風に扱われてしまう自分は、尊にとって好きでも何でもない、ただの暇潰しの相手でしかないということの表れに他ならない。
そんなこと最初から百も承知だったはずだ。
けれど自我のコントロールがきかないのだからしょうがない。
美桜は盛大にむくれながらも、少しでも気を抜けば、泣いてしまいそうだ。