狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
そんな想いを抑え込むためにも、美桜は大好きな花々を愛でることで気を紛らわせた。
とはいえ、これまで恋の経験のなかった美桜は、ほんのりと桜色に染めた頬を生けた花々に負けないくらい満開に綻ばせていているものだから、全くと言っていいほど、嬉しさを隠しきれないでいるのだが。
つい先ほどまでヒサのことを叱りつけていたヤスもヒサも、そんな美桜の様子から全てを察しているのか、ふたりは顔を見合わせ、ニヤニヤとニヤつきつつ静かに見守っている。
そんなこんなで、極道者ではあるが優しいふたりのお陰もあって、極心会での初日は、意外にも穏やかに過ごすことができていた。
ただ残念だったのが、尊の仕事が思いの外忙しいようで、美桜が寝付いた頃にならないと帰ってこられないことだ。
加えて、美桜がフラワープロジェクトの監修を務める事になった件で、美桜を取り巻く環境もがらりと変わってしまった。
二週間が経った今では、T&Kシステムズの運営するサイトでの特集に掲載するコメント記事の作成にはじまり、写真撮影に動画の収録にと、美桜も連日のように奔走するようになっている。