狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
「どうした? 口に合わないか? 」
「とんでもない。どのお料理も芸術品のようでとっても綺麗で、食べてしまうのが勿体なくて」
本当は見惚れていたのと、一緒に居られるのが嬉しくて、胸がいっぱいなだけなのだが。そんなこと言えないし、バレる訳にはいかない。
「ふっ、そんなこと言って眺めてばかりいたら、不味くて食が進まないのかとシェフが勘違いして泣くぞ?」
「そ、それもそうですね」
「ああ。もし酒が飲めるなら、これならアルコール度数もそれほど高くないし飲んでみるといい」
「シャンパン……ですか?」
「いや、スパークリングワインだ」
「じゃあ少しだけ」
さっきまでとは違った緊張感に苛まれつつも食事の合間に尊と談笑を混じえていたのだが、美桜にはもう一つ気になることがあった。
それは、この一月の間、時折ヤスやヒサから聞かされてきた尊の身の上のことだ。