狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 ただでさえ落ち込んでしまっていた気持ちがズンと地中深くに沈んでしまう。

 どうしてこんな目に遭わなきゃいけないのだろう。前世で何か悪いことでもしたのだろうか。

 でないと、あんなに優しかった兄がこんなに意地悪になったりしないのではないだろうか。

 ーー否、違う。

 亡くなった母が家元と不倫なんかしなければ。母が私のことなんか産まなければ。こんなことにはならなかったに違いない。

 どうせ誰にも祝福なんてされないのに。

 ーーあーそうか、生まれてきたこと自体、罪なことなんだ。

 だったら罰を受けないといけない。

 そうは思いながらも、どうしても受け入れられない自分がいて、気持ちは塞ぐばかりだ。

 そんな美桜の脳裏には、まだ幼かった頃、愼がまだ優しかった頃の記憶が呼び起こされる。

 この家に引き取られた自分に対して、今と変わらず、よそよそしい態度の弦と、快く思っていない薫。

 そんな両親とは対照的に、当時十三歳だった愼は、まだ事情を知らなかったせいか、今のように美桜のことを蔑むことも疎んじることもなかったように思う。

 
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