狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 尊が裏社会で『皇帝』と呼ばれるようになったのも、尊の経営者としての秀でた手腕と、他者に情けをかけない冷酷さからだとか。例え同じ極心会の構成員であっても決して隙や腹の内を見せないことから、今では『孤高の若頭』などと呼ばれているのだという。

 それはきっと、両親を既に亡くし天涯孤独であることも関係しているに違いない。

 そこがまたミステリアスで格好いいとヒサは目をキラキラと輝かせて語っていた。

 またIT企業の経営者としての成功を収めただけでなく、政財界との結びつきも強固にしていったらしい。

 そういう太いパイプを持っているお陰で、警察にも目をつけられることもないんだそうだ。

 よく言えばお互いが均衡を保っていると言えるが、悪く言えばおそらく癒着と言うことなのだろう。

 けれども美桜が知っている任侠映画の世界とは違い、覚醒剤の売買や暴力にものを言わせて一般人を脅したり騙したりというような、犯罪には加担していないらしい。

< 140 / 244 >

この作品をシェア

pagetop