狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

あまりにも当然のことのように言うので、一瞬納得しかけたが、『いやいや』と思い直す。

けれど美桜が口を開きかけたところに、尊からの追撃が寄越されてしまう。

「心配するな。そのうち慣れる。それに恥じらってるような余裕なんてすぐになくしてやるから安心しろ。美桜は俺に全部任せていればいい。いいな?」

 そうしていつものように、小さな子供に言い聞かせるようにして優しい声音でやんわりと畳みかけられた美桜は、尊の暗示にでもかけられてしまったかのように、コクンと顎を引いてしまっていた。

 やはり好きだと自覚してしまった相手からの呼び捨てには、凄まじい魔力が宿っているらしく、抗うことなどできないようだ。

 恋というものはどうにも難儀なものらしい。

 身をもって思い知らされた瞬間だった。

 しおらしくなった美桜のことを満足そうに見遣った尊が背後から美桜の顎先を捉えると、無防備な唇にそうっと優しく口づけてくる。

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