狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
けれどすぐに口元にふっと怪しい微笑を湛えたかと思うと、今度は感心したようにふうと息をついてから重低音を響かせた。
「よく言った。それでこそ極道の妻だ。だったら俺は、お前が俺のことを必要とする限り傍に置いて、命に代えても守り抜いてやる。その代わり、俺以外の男に指一本たりとも触れさせるな。破ったらそのときは容赦しない。いいな?」
さすがは極道組織・極心会の若頭。
そう思わせる、威圧感満載な気迫に満ちた低い声音である。
仰々しい言葉の端々には、狂気めいたものが見え隠れする。
それだけ危険な世界だということなのだろう。
独占欲ともとれる口ぶりだが、それだって、『政略結婚ではあっても夫婦であるのだから、不貞などあってはならない』そう言っているに過ぎない。
そんなことなど百も承知だ。
それなのに……。こんなにも嬉しく思えてしまうのだからどうしようもない。
そんな想いを胸の奥底に閉じ込めた美桜は決意を露わにする。
「はい」
「いい返事だ。褒美に今からたっぷりと可愛がってやる」
尊はそう宣言するなり、美桜の華奢な身体を広くてあたたかな胸へぎゅうっと掻き抱いた。