狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
すると尊は憤慨した美桜のことを思いの外優しげな表情で見つめてくる。
機嫌でもとってくるつもりに違いない。
ーーいつもいつもそんな手には乗らないんだから。
キッと鋭い視線で尊のことを見据えて身構えていたというのに……。
ここぞとばかりに放たれた尊からの予想に反する言葉に、美桜の心は掻き乱され大いに戸惑ってしまう。
「普段おっとりしているお前が、俺にだけ感情を曝け出してると思うと、堪らなくなるんだからしょうはないだろ。だがもうそれだけじゃ物足りない。まだ俺の知らないお前のことをもっともっと暴き出してやりたくなる。そんな風に思わせるお前が悪い」
尊の口吻は、相変わらず傲慢なものだ。
けれどそこかしこに、これでもかというように、思わせぶりな要素をチラつかせたものだった。
尊は、混乱気味の美桜の頭を大きな手で優しく宥めるようにポンポンと撫でるとトドメの一撃のように尚も甘く囁いてくる。
「だからもう諦めて、俺になにもかも曝け出してしまえ。いいな? 美桜」
そんな風に言われてしまえば、美桜にはもう抵抗など示すことなどできない。ただコクンと頷くしかなかった。
やはり尊にはどう足掻いたって敵わないらしい。
今一度そのことを再確認させられた美桜は、尊により軽々と抱き上げられいよいよベッドへと運ばれた。