狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 そこへ尊はさっき同様、尚も厳しく追及してくる。

「『へ』じゃない。継母だからって庇う必要なんてない。事と次第によっちゃ、この俺が葬り去ってやるから、さっさと答えろッ!」

 その言葉には、物騒なものが混じっており、美桜は驚きのあまり一瞬唖然となる。

 ーー葬り去ってやるって。まさか、殺しちゃうってこと?

 だがすぐに一大事だと気づいた美桜は、尊のことを阻止しようと大慌てで声を放つ。

 同じく、自分の問いに答えようとしない美桜に痺れを切らしたらしい尊もまた、美桜のことを追及しようと行動に移す。

「いくら酷いことを言われたからって、殺すなんて駄目ですッ!」
「お前が許しても俺は許さないからな。妻であるお前を傷つけられて黙ってられるかッ!」

 その結果、美桜と尊の声とが同時にハモってしまうこととなった。

 尊は美桜の身体を組み敷いて見下ろしており、美桜は尊の顔を見上げるという体勢となっている。

 互いに言い切った直後、尊からの言葉を脳内で反芻している美桜の元に、一瞬だけハッとした様子を見せた尊から優しい声音が届いたときには、尊によって美桜の身体は再びぎゅっと抱きすくめられていた。

「怖がらせて悪かった。葬り去るって言ったのは、社会的地位を奪うってことだ。実際に殺す訳じゃないから安心しろ」

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