狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
この世界に入ると決めたとき、天涯孤独を貫くと固く誓ったはずなのに。それを自ら破る日がくるとは……。
ーーとうとう俺も焼きがまわったのか。
尊は長い長い溜息を垂れ流し頭を抱え項垂れた。
だがこうもしていられない。こうなったからには、美桜への気持ちを認めて、腹を括るしかない。
気持ちを立て直すためにも、寝入っている美桜を起こさないように細心の注意を払いベッドから抜け出した尊はバスルームへと向かった。
頭を冷やすため、冷たいシャワーを浴びながら、美桜の継母である薫への制裁について思考を巡らせる。
ほどなくしてシャワーを終え美桜の眠るベッドに戻った尊は、いつものように小柄な美桜の身体をすっぽりと包み込み瞼を閉ざす。
己の命よりも大事な存在ができてしまったことに、一抹の不安と恐怖を覚えないと言えば嘘になる。だがそんなものより幸福感の方が勝っている。
微睡みのような幸福感のなかで、尊はあることを心に決めたのだった。