狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
リビングダイニングの大きな掃き出し窓の外には、五月晴れの蒼く澄み渡った爽やかな空と高層ビル群が見て取れる。
ホテルで遅めの昼食をとってきたため、あいにく時刻はまだ午後二時をまわったところだが、夜になれば素敵な夜景を眺めることができるのだろう。
ーー素敵な部屋。それにいい眺め。今日からここで尊さんと一緒に暮らすんだ。なんだか夢みたい。
尊にエスコートされて部屋に脚を踏み入れた美桜が興奮気味に大きな窓の前まで駆け寄ると。
『そんなにはしゃいだら躓くぞ』
ふっと笑みを零した尊が軽口を叩きながら背後から美桜の腰をさらうようにして抱きしめられていた。
『……つ、躓いたりしませんッ!』
突然の抱擁にビクンと大きく肩を跳ね上げたものの、なんとか言い返した美桜の耳元に尊が甘く囁いてくる。
『わかってるから安心しろ。お前にはしゃぐほど気に入ってもらえて嬉しくて……つい。悪かった。怒らせた奥さんの機嫌をとらないとな』
尊からの甘い台詞に慣れない美桜が戸惑っている間にも尊によって顎を上向かせられ、そうっと優しく口づけられていた。
政略結婚ではあるが、正式な夫婦となった尊との意外にも激甘な新婚生活はこうしてスタートしたのである。