狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
極道の妻として

 政略結婚ではあるが、尊と正式な夫婦となってから、早いもので一月が経とうとしている。

 思いの外濃厚な初夜を過ごした翌日と変わらず、尊は絵に描いたようなスパダリぶりを発揮し続けていた。

 夜の夫婦生活のほうは初夜同様、一度や二度では収まりがつかないようで、何度も求められてしまい、お決まりのように、美桜が意識を失うことで終わりを迎えるのがデフォとなりつつあった。

 多忙だった尊の仕事のほうも、結婚準備のために前倒しで熟していたのもあり、随分と落ち着いてきているらしい。

 終業後、会食などが特にない日などは、十八時に上がり、十九時をまわった頃には帰宅するようになった。

 とくれば、さぞかし楽しい新婚生活を送っているのだろうと思われるかもしれないが、あいにくそうではない。

 なぜなら、尊の仕事が落ち着いてくるのと入れ替わるようにして、美桜の仕事が忙しくなってしまったからだ。

 結婚する前から決まっていた、ハッピーフラワープロジェクトの一環としての、簡単なフラワーアレンジメントの動画撮影に、PRのためのCMの撮影、専門誌をはじめとする雑誌の取材などなど。美桜は分刻みのスケジュールを粛々と熟していた。

 ゆえに、帰宅は尊より遅くなることもしばしば。遅いときには二十一時をまわってしまうこともあった。

 尊はそういうことも見越していたらしく、美桜の負担にならないように、家事はハウスキーパーを雇ってくれている。

 お陰で、掃除や洗濯と言った家事に手を取られることはなかったし、美桜が帰宅すると、あたたかく出迎えてくれる尊だけでなく、もれなく美味しい料理もついてくるという贅沢なオマケつきだ。

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