狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
言ってしまった直後、はっと我に返ってしまった美桜は大いに焦った。
ーーこれじゃまるで嫉妬だ。好きだと言ってるも同然だ。
これまで、せっかく尊への気持ちをひた隠しにしてきたのに、全てが水の泡になってしまう。
美桜がひとり焦りに焦っていると、虚を突かれたようにポカンとしてしまっていた尊がニヤリと意地の悪い笑みを湛えた唇で弧を描いた様が視界に割り込んできた。
たちまち妙な緊張感に見舞われた美桜の鼓動が早鐘を打ち始める。
もちろん、恐怖心からではない。尊になにを言われなにをされるのだろうかという、期待感に胸が高鳴っているのだ。
「可愛いお強請りの次は嫉妬か。俺の奥さんは随分嫉妬深いんだなぁ」
「ち、違いますッ」
「じゃあなんだ?」
「そ、それは、だって。一応奥さんなんですから、他の女性と一緒は嫌だってだけです」
「ふうん、わかった。だったらこれからたっぷりと身体に教え込んでやる。こんな風に優しくするのも、大事にしてるのも、妻であるお前にだけだってことをな」
「ーーえ?」
「当然だろう、夫婦なんだからな。妙なことを考える余裕なんて俺が今すぐなくしてやる」
「あっ、んぅ……んんッ」
混乱気味の美桜の思考を強引に奪い去るようにして、尊に噛みつくようなキスをお見舞いされてしまった美桜は、宣言通り、数秒足らずで思考もろとも蕩かされてしまう。
そうしてあれよあれよという間に、帰宅後着物から着替えていたニットワンピーの裾を大胆に胸元までたくし上げられていた。