狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
ソファで座している尊の脚に跨がっているため、尊の眼前に下着を纏っただけの胸を突き出すという、なんとも恥ずかしい格好となってしまっている。
いくら期待感に胸を高鳴らせていようが、さっきまでの激しいキスのお陰で思考もなにもかも蕩けきっていようが、恥ずかしくないわけがない。
これまでの経験上、尊にどうされるかわかっているので、せめてその瞬間を直視したくなくてすむように、無駄な足掻きとは思いつつ、ギュッと瞼を閉ざす。
するとふっと不敵な微笑を零した尊の心なしか嬉しそうな声音が美桜の耳朶を擽った。
「今日は淡い水色なんだな。これも俺のために選んでくれたんだろう?」
尊からの、あたかも心の内を見透かしたような鋭い指摘に、美桜は弾かれるようにして顔を上げ言い返してしまう。
「ち、違いますッ! 別に尊さんのためにじゃありませんからっ」
けれど実際には、尊の指摘通りで、結婚してからと言うもの、服装や身なりには一層気を遣うようになったのは事実だ。
それもこれも、十歳も離れている大人な尊に少しでも近づきたい。少しでも尊に見合う大人の女性になりたい。そんな想いからだった。
いつからか、それを全てお見通しだとでも言うように、こうしてことあるごとに尊は指摘するようになった。
おそらく尊は、薫の呪縛に囚われていた美桜がこれまで下着は隠すためのものばかり選択してきたのが、尊になにもかもを曝け出した初夜を境に、見た目重視で選ぶようになったのを自分のためだなんだと仄めかしているだけなのだろう。
ただ美桜との行為に刺激というスパイスを加えるためのものに違いない。