狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
もちろんそうなるよう麻美に美桜のことを託したのは、弦一郎が自らの指示で引き取ることになった、孫である美桜のことを思ってのことだ。
三年前、弦一郎は脳梗塞を患ったのを機に、隠居し転居する際、美桜も一緒に連れて行こうと考えていたのだが。薫と同じ妻という立場から、幸代にいい顔をされなかったために、それは叶わなかった。
現役の頃は自分の思い通りに振る舞ってきた弦一郎も、隠居して幸代と四六時中一緒に過ごすことを思うと、強くも出られなかったのだろう。
そういう意味では、弦一郎も弦も似た者親子なのかもしれない。
なにはともあれ、愼から解放され、唯一の味方である麻美と一緒に離れでの後片付けを終えることもできた。
その時に、麻美に見合いのことは話したものの、余計な心配をかけないためにも、相手のことは濁し、普段通りを心掛けたが気が晴れることはなく。
夜も更け、いつものように麻美とのふたりきりの夕飯のあと、入浴を済ませて布団に入ってからも、見合いのことを思うと、なかなか寝付くことができず、気づけば翌朝を迎えていたのだった。