狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜


 それでも尊は美桜の突飛な行動に驚きつつも、しっかりと抱き留めてくれる。

「おっと。だから急に飛びつくなって」

 その焦った声が抱きついた尊の胸からじんわり伝わってくる。

 鼓動だって駆け足状態だ。

 ーーちょっと飛びついただけで焦ってこんなに動揺してるクセに、どうしてそんなに頑ななの?

 腹立たしく思う反面。それだけ美桜のことを大事にしてくれようとしてくれているのだと思うと、嬉しくもある。

 お陰であんなにムキになっていた気持ちが嘘だったかのようにスーッと穏やかに凪いでいく。

 素直な気持ちで尊に向き直った美桜は、今の気持ちを真っ直ぐに紡ぎ出す。

「尊さん」

「ん?」

「私のことを助けてくださり本当にありがとうございます。私、極道の妻に相応しくなれるよう頑張りますから」

「いや、お前はそんなこと気にしなくていい。お前はそのままでいてさえくれればそれでいい」

 美桜の想いが尊に通じたのか、これまではぐらかしていた尊の口調が真剣なものにがらりと変化した。

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