狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
だが美桜が安堵しかけた矢先。
「それにしても、お前って昔からそういう妙に強情なところがあるよな。いや、昔以上か」
尊の呟きが耳に届いたことでさっきまでの威勢なんて吹き飛んでしまう。
胸のなかはたちまち不安一色に覆い尽くされていく。
「嫌ってことですか?」
恐る恐る出した声も頼りないものだった。
けれど尊と話しているうち、いつものように尊のペースに引き込まれていく。
「いや、そうじゃない。お前は昔も今も充分可愛いから安心しろ。俺が保証してやる」
「本当ですか?」
「ああ、本当だ。お前にこうして触れられているだけでこうなるくらいにな」
「ーーひゃっ!?」
「これで形勢逆転だな」
美桜が尊の男性特有の反応にあたふたしている間に、既に尊に組み敷かれていた。
同時に、形のいい唇に不敵な微笑を湛えた尊の重低音が響き渡ったことで、途端にふたりの周辺には甘やかな雰囲気が立ち込める。
しかも、お互い湯上がりのため浴衣姿である。
尊の浴衣の胸元がはだけてしまっているせいで、ボディーソープの甘やかで濃厚な薔薇の香りが鼻腔を擽る。なんと言っても色気が半端ない。
浴衣を纏った尊の圧倒的な色香に当てられてしまった美桜は、飲酒もしてないのに酔ったようにくらくらし始める。