狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 その隙を突くようにして、尊は美桜の無防備な唇へと優しく甘美な口づけを降らせた。

 尊は美桜のことを甘美なキスで翻弄しながら浴衣を乱し、あわいから手を忍ばせてくる。そのまま美桜の透けるように白い柔肌を味わうように、官能的な厭らしい手つきで身体をまさぐり始める。

「んっ……ふぅ……んんッ」

 重なり合う唇の角度が変わるたび、唇の僅かなあわいから自分のものとは思えないような、鼻から抜けた甘ったるい艶のある声が零れ落ちる。

 恥ずかしくて声を我慢しようにも、尊の手にガッチリと後頭部を固定されているため叶わない。ぐにゃりと力が抜け切った身体では、身動ぎさえもままならない。

 美桜の唇の柔らかな感触を味わうかのような、優しく啄むだけだったものが、やがて美桜の吐息と唾液とを貪り尽くすかのような、より一層濃厚なものへと変化していく。

 こうなってしまっては、尊によって女としての悦びを幾度となく身体の深部まで刻み込まれている美桜には、もう抵抗するような気力も、恥じらっているような余裕もない。

 ただただ尊の腕のなかで淫らに乱されてすべてを曝け出すことしかできない。

晴れて尊と正真正銘の夫婦となったこの夜。美桜は尊に翻弄される狭間でーー

 やっと手に入れることのできた、心の底から欲しいと願い、自分の手ずから掴み取ったこの幸せを、どんなことがあっても守り切ってみせる。

 極道者である尊の妻としての覚悟を決めて、尊にすべてを委ね、甘やかで濃厚な快感の坩堝へと身を投じた。

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