狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
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「……そう。なら、しょうがないわね。検査結果が出たらすぐに連絡するわ。それじゃあ」
意識の遠くで誰かの話し声がする。美桜はその声で目を覚ました。
パチパチと目を瞬きぼんやりとした視線を彷徨わせてみる。
すると真っ白な四角い天井が視界いっぱいに映し出された。次に見えたのは、左側に置かれたスタンドに吊された透明な液体の入った点滴の袋だった。それはチューブにより美桜の左腕に繋がれている。
どうやらここは病院のようだ。
美桜が寝かされているベッドから少し離れた窓側には、こちらに背を向けて誰かと通話中の樹里の姿があった。
おそらく美桜が倒れてしまったために、その対応に追われているのだろう。
きっとヤスやヒサも今頃動いてくれているに違いない。
そう思うと、申し訳ない気持ちで一杯になる。
ーーただの夏バテで倒れて迷惑かけちゃうなんて情けない。早く起きなくちゃ。
慌てて起き上がろうにも、身体が怠くてうまく力が入らない。
美桜がもたついていると、ちょうど電話対応を終えたらしい樹里が振り返ってきた。
その瞬間、美桜が詫びを入れるも。
「あの、すみません。ご迷惑おかけして」
「あっ、こら。美桜ちゃん。急に起き上がったら駄目じゃない。病人は大人しく寝てなさい。今先生呼ぶから。いいわね?」
「……は、はい」
慌てて駆け寄ってきた樹里によって制されてしまい、美桜はベッドに横になったまま医師からの診察と説明を受けることとなった。