狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
あれは確か、小学生の頃、自分の名前の由来について調べるという宿題が出された際に、弦に『美桜』という名前について尋ねたことがあった。
なんでも、幼い頃亡くなった美桜の母親は、桜の花が好きだったそうだ。
そのなかでも、ソメイヨシノが特に好きだったらしい。
ソメイヨシノの花言葉には、『純潔』『清純』『優れた美人』とがあると知った母親が名付けた『美桜』という名前には、桜の花のように誰からも愛されるような、清らかで美しい心根の女の子に育って欲しいという願いが込められているのだそうだ。
それを聞いた時には、よく理解できなかったけれど、母親は自分のことを心から愛してくれていたからなのだと、今ならわかる。
誰かを好きになったことなどない自分には、想像することしかできないが。
たとえ祝福してもらえなくとも、愛する人との子供を授かったのだから、幸せだったに違いない。