狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
それから数時間後。身重の美桜の体調を神経質なほどに優しく気遣ってくれる尊に付き添われ、我が家であるマンションに帰り着いた美桜は、リビングダイニングのソファに尊と隣り合って寄り添っているところだ。
尊はさっきから美桜のお腹に大きな掌をそうっと重ね合わせて恐る恐る撫でては、美桜の体調のことを気遣ってくれている。
その姿は、まさしく優しい夫そのもので、昼間男性医師の襟首を掴みあげ凄んでいたとは思えないほどの変わりようだ。
普段は無表情を決め込んでいるはずの端正な顔なんて、すっかり緩んでデレてしまっている。
ーー生まれる前からこんなだと、この子が生まれたら、一体どうなってしまうのだろう?
美桜が言い尽くせないほどの幸福感のなかで、人知れずそんな心配をしていると、尊からもう何度目になるかと思うほど、幾度もかけられた台詞が美桜の意識に流れ込んできた。
「本当にここに俺の子供がいるんだな」
尊に視線を向ければ、心底幸せそうに目尻を下げ柔らかな笑顔を綻ばせ、今にも蕩けてしまいそうだ。
「はい、ちゃんといますよ。尊さんの赤ちゃん」
つられた美桜も、顔がだらしなく緩んでしまいそうだ。いや、間違いなくそうなっているに違いない。
尊との再会を果たしたあの見合いの日から、ちょうど四ヶ月。
あの頃は、こんなに幸せな日が訪れるなんて夢にも思わなかった。
それが今こうして、夫婦仲良く寄り添い合って、自分達の子供のことをあれやこれや話しているなんて、本当に人生なにがあるかわからないものだ。