狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
そんな日々を経て現在。
以前よりも家事にも協力的になって、完璧なスパダリぶりを発揮してくれている尊のサポートのお陰で、とても幸せで充実したマタニティライフを満喫させてもらっている。
櫂に除籍を言い渡されたあの日。極道の世界か引退した尊はどうしているかというと。
T&Kシステムズの経営者として以前よりも一層精力的に仕事を熟している。
といっても、定時である十八時きっかりにオフィスを出て帰宅するのは十九時。それからは疲れた顔も見せず家事を熟してくれている。
けれど少し困ったこともあった。
それは近頃やたらと身重の美桜のことを気遣う余り、以前にも増して神経質になってしまっているということだ。
昼間の妊婦健康診断では、担当医である年配の女性医師から、安定期に突入したことから、夫婦生活を再開してもいいというお許しが出され、そのことを尊に話しているところであるのだが……。
「美桜、本当に大丈夫なのか?」
話した途端に、尊は難色を示し始めた。
身重の身体のことを気遣ってくれるのは有難いことだが、妊娠して以来ご無沙汰だったし、尊とのこういう時間も大事にしたいと思っている美桜にとって、渋る尊のことをどうやってその気にさせようかとあれこれ策を講じて臨んでいるのだ。
これしきのことで諦めるわけにはいかない。