狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 尊との甘やかなキスに酔い痴れていた美桜が完全に蕩けきった頃には、身につけていたパジャマは取り払われていた。

 妊娠しお腹が膨らんできたこともあり、自分からその気にさせたクセに、今さらながらにそのことが気になってくる。

 美桜はそうっと羽毛布団を引き寄せ身体を覆い隠す。

 実は、購入したひよこっこクラブの新米ママのお悩み相談室というコーナーで、妊娠・出産をきっかけに、夫が妻のことを女性ではなく、母親としてしか見られなくなったことで、セックスレスになってしまった。という記事を目にしてしまったからだ。

 尊は、恥じらう素振りを見せる美桜のことを蕩けそうなほど甘い眼差しで見つめている。

 美桜の妊娠を知ってから今日まで、およそ三ヶ月近く。我慢してなかったと言えば嘘になる。

 三十歳と言えば男盛りなのだから無理もない。

 けれどそんなことよりも、美桜の身体のことがなによりも気にかかる。

 なんとか湧き上がってくる劣情を抑えようと必死だというのに……。

 ーーなんなんだ。その可愛らしい反応は。あー、クソッ! 今すぐ飛びかかって貪り尽くしたくなるだろ。

 尊は己の劣情と理性との狭間で揺れに揺れていた。

 美桜の手前、そんな心情など露も見せない素振りで至って冷静を装い、着ているカットソーを脱ぎ捨てる。

 美桜に再び視線を戻すと、さっきまで恥じらっていた美桜はポーッとしてしまっている。

 不思議に思った尊は、できるだけ優しい声で問い返す。

 もしも体調が悪いようなら、無理はさせられない。美桜が言い出しやすいようにするためだ。

「ん? どうした?」

 その声に、美桜はハッとする。

 体型のことを気にしていたはずが、匂い立つような圧倒的な色香を纏う尊の鍛えられた芸術品のような裸体と、描かれた刺青に魅入られていたからだ。

 だがそれだけではない。

 妊娠前、尊に幾度となく翻弄された、甘やかで濃厚なひとときを思い出し、胸を高鳴らせ、火照った身体が甘く疼くという、はしたない反応のせいだ。

< 234 / 244 >

この作品をシェア

pagetop