狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
どれくらいの時間そうしていただろうか。
「あっ、や……ああぁん」
「うっ、くッ」
いつしか緩やかに昇り詰めた美桜は、ほぼ同時に昇り詰めた尊とふたりして互いの身体を隙なく絡め抱きあったままで甘やかな余韻のなかをたゆたい続けた。
気づいたときには、尊の逞しい胸に抱き寄せられ、優しくお腹をさすりつつ、身体を気遣ってくれる。
「美桜、身体キツくなかったか? 張ったりしてないか?」
「……はい。大丈夫ですよ」
「そうか、よかった」
あんまり心配そうにしているので、思わず吹き出しそうになったが、なんとか堪えた。
とそのとき、お腹のなかでなにかが蠢くような感覚が駆け巡る。
「美桜、今のもしかして」
「尊さん、今、動きましたよね?」
「あっ、また動いたぞ」
「ふふっ、元気に動いてますね」
初めての胎動を尊と一緒に感じることができて、それだけでも感激なのに……。
「元気なのはいいが、あんまり暴れて美桜に負担なんてかけるなよ。生まれてくるときも、美桜を苦しめないようにすぐに出てこいよ。おい、こら、聞こえてるのか?」
「赤ちゃんにそんなこと言っても通じませんてば」
「そんなのわからないだろ。あっ、いま返事したぞ」
「ふふっ、そうですね」
お腹の赤ちゃんよりも、美桜のことを一番に気遣ってくれる尊の姿に、心を打たれてしまった美桜は嬉し涙を浮かべながら、この上ない喜びと幸せを噛みしめていた。