狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
そんな男に対してちゃんと応えたいと思うのだ。
知らず識らず美桜の口からは思ったままの言葉が零れ落ちていく。
「……でも……迷惑になるんじゃ」
そこまで口にしてしまってから、ハッとする。
本音を曝け出してしまったことに驚きを隠せないでいる美桜に対し。
「ということは、俺に着いて来る気があるってことだな」
口元に微かな笑みを湛えた男が、相変わらず強い眼差しで射貫くように見据えつつ、問いかけてくる。
コクンと僅かに顎を引くことで意思表示した美桜に、強引な言葉を放つやいなや。
「だったら、ゴチャゴチャ言ってねーで、さっさと行くぞ」
男はそのまま美桜の身体を軽々ひょいと左肩に担ぎ上げてしまう。
「……え? ちょ、キャッ!?」
「暴れるな、でないと落ちるぞ」
「////ーーッ!?」
驚愕してバタバタ手足をばたつかせる美桜のことを笑み交じりの低い声音で咎めると同時。担いだ美桜の尻を鼓でも打つかのようにパチンッと軽く叩くと、羞恥に見舞われ真っ赤になった美桜が身を縮めたところで、男は今度こそ和室を後にしたのだった。