狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 いきなり肩に担がれた挙げ句、尻まで叩かれてしまった美桜は、あの後すぐ、廊下で気を利かせて待機していたらしいふたりの部下を従えた男により、駐車場の車まで運ばれた。

 駐車場に停められていたどの車よりも大きくて、三人の男たち同様に威圧感を放っている黒塗りの高級車。その後部座席へと押し込まれたのである。

 助手席には既に運転手らしき年配の男が控えており、美桜を含めた四人が乗り込むと同時に静かに走り出した。

 車に興味のない美桜にはよくわからないが、家元である弦が所有している車も名の知れた高級車であるらしいと聞いたことがある。

 だが、乗用車にしてはやたらと大きく、長い独特な見かけと豪華すぎる内装からして、それよりも遙かに格上だというのが窺える。

 運転席と後部座席とは仕切られており、上質そうな黒い革張りの座席も空間もとても広々としていた。

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