狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 美桜が呆気にとられてる間、ヤスに対して、実に素っ気ない重低音で苦言を呈した尊との間でなされた会話によりーー

「その呼び方はやめろ。社長と呼べッ」

「さーせん。社長。とりあえず自己紹介してあげてもいいですかね?」

「ああ、好きにしろ」

「へい、あざーす」

 ヤスから自己紹介を受けることとなった。そこで三人の名前と職業を知り得たのだが、そのことで美桜はこれまた大きな衝撃を受けたのである。

 ヤスの話では、優太郎との間で交わされた会話でも、自分達が『極道』であることを示唆していたらしいが、混乱していた美桜の耳には届いていなかったのだ。

 ヤスからの説明によると、超難関国立大の帝都大出身である尊が在学中に起業したという『T&Kシステムズ』。

 美桜でも一度は耳にしたことのある、今一番勢いがあると言われているIT企業だ。

 それだけでも驚きだというのに……。それがなんと、世間では泣く子も黙る日本最大の極道組織として有名らしい『極心会』のフロント企業だという。

 しかも尊は、その組織のナンバーツーに位置する、『若頭』という立場にあるというのだから、美桜が驚愕するのも無理もない話だ。

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