狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
尊のことを恨みがましく横目でじとっと見遣っていた。すると何かを察したらしい尊に、自分にだけ聞こえるように耳元で、面白おかしく茶化されてしまう。
「ああ、俺に担がれて尻を叩かれたことを根に持ってるのか。それはすまなかったな。詫びに、叩いた尻でも撫でてやろうか」
「////ーーけ、結構ですッ!」
美桜は顔を赤く染め、ますますむくれてしまうのだった。
そんな美桜のことを尊は歯牙にもかけていない素振りで、知らん顔を決め込んでいる。
それなのに……。こうして極道である尊と話していても、やはり嫌悪感も恐怖感も感じられない。
それどころか、気づけば今のように尊に対して、感情のままに何もかもを曝け出してしまっている。
ーーやっぱり助けてもらったせいなのかな。
だからといって、尊が極道だとわかった以上、手放しでは喜べない。
これから自分がどうなってしまうのかという不安だってある。
飽きるまで置いてくれると言ってはいたが、その後は、もしかしたらどこかに売られてしまうかもしれない。
自分のもっている極道というイメージがどうしても付き纏う。
そうこうしているうちに、いつしか車は、夜桜のライトアップやクリスマスのイルミネーションの名所としても知られる、都心の複合商業施設へと到着していた。