魔法の手に包まれて
1.窯ラード
スマホの地図アプリが指し示す場所は間違いなくここなのだが、目の前には掘っ立て小屋。いや、プレハブ小屋。いやいや違う、トタン屋根とサッシ窓の一軒家だ。この一軒家の入り口と思われるところもサッシのガラスの引き戸だから、このガラスから中を覗き込むことができた。だが、戸の向こうかが側土間になっているようで、さらにその奥に外界からの覗きを防止するかのように、すりガラスが見えた。
「こんにちはぁ」
成田千夏は、このサッシ戸をガラガラと音を立てて横に引きながら、そのすりガラスに向かって声をかけた。
「お電話しました、お日さま幼稚園の者ですがぁ」
できるだけ語尾を伸ばして、声を出る時間を長くしようという努力をしてみた。すると、すりガラスががらっと開いて作務衣姿の一人の男性が姿を現した。いかにも、こだわりを持っている芸術家という印象を受けた。
「はいはい、お日さま幼稚園さま、ですね」
「はい、お日さま幼稚園で教諭をしています、成田千夏と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
千夏は勢いよく頭を下げた。すると、一つに結わえていた髪の毛が勢いよく前に垂れ下がり、千夏が頭を上げると元の位置に戻る。
「こんにちはぁ」
成田千夏は、このサッシ戸をガラガラと音を立てて横に引きながら、そのすりガラスに向かって声をかけた。
「お電話しました、お日さま幼稚園の者ですがぁ」
できるだけ語尾を伸ばして、声を出る時間を長くしようという努力をしてみた。すると、すりガラスががらっと開いて作務衣姿の一人の男性が姿を現した。いかにも、こだわりを持っている芸術家という印象を受けた。
「はいはい、お日さま幼稚園さま、ですね」
「はい、お日さま幼稚園で教諭をしています、成田千夏と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
千夏は勢いよく頭を下げた。すると、一つに結わえていた髪の毛が勢いよく前に垂れ下がり、千夏が頭を上げると元の位置に戻る。
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