魔法の手に包まれて
 おほしさまだぁ、と喜ぶ女の子の声が聞こえてきた。

 するとすかさず千夏がその園児のところへ近づいては、声をかける。すると、園児はまた笑顔になる。
 不思議な女性だ、と彰良は思った。

 その千夏の声掛けのおかげなのか、それともそうするように園児たちの体に染みついているのか、きちんと時間通りに作品造りを終えていた子供たち。最後に竹串で名前を書くように彰良が言い、作品を受け取った。

「みんなが作ったお茶碗やカップは、これから一か月間、乾かします。それから焼いて、色を塗ります。できあがるまでは二か月くらいかかるので、卒園式に渡しますね」

「はーい」

「それでは、みんな。最後にあきら先生に御礼を言いましょう。はい、全員、起立」
 千夏が言えば、園児たちも椅子をガタガタと音を立てて立ち上がる。恐ろしいくらいの統率力。

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