魔法の手に包まれて

「先生、今日はありがとうございました。どうぞ、中でお茶でも飲んでいってください」
　子供たちの見送りを終えた千夏から、園長と同じような内容で声をかけられたのだが、こちらの言葉には素直に従う。

「そうですね。引き渡し日のスケジュールなども確認したいので、いただきます」
　彰良が入ったのは、小さな職員室。スチール製の机が五つ並んでいて、他に冷蔵庫、ガスコンロ、湯沸かしポットが置いてある。給湯器も備え付けてあるため、洗い物などもここでできるのだろう。

「先生、コーヒーでよろしいですか？」

「あ、はい。いただきます」

　千夏がコーヒーを淹れている間に園長に促されて、椅子に座った。

「先生、今日は本当にありがとうございました。子供たちも大変喜んでおりまして。卒園式に作品を渡すのが楽しみです」
　園長は当たり障りのない言葉を並び立てている。