魔法の手に包まれて

「こちらこそ、呼んでいただきありがとうございます。子供たちの楽しそうな顔を見て、こちらも元気をいただきました。それに、作品はどれも個性的で。子供というのは、大人の考えつかないようなことを考えますよね」

「ええ、ですから、私も長年、この仕事を続けられているのですよ」
　園長は楽しそうに笑った。
　そこに、もう一人の三十代くらいの落ち着いた雰囲気を持つ教諭が入ってきた。
「こちら、年中組担当の上村(かみむら)杏奈(あんな)先生です」
　園長が紹介すれば。
「上村(かみむら)です」
　幼稚園教諭というよりは、養護教諭のほうが似合いそうな女性である。少しきつめの目元ではあるが、保護者からの評判は良い。

「杏奈先生も、コーヒーでよろしいですか？」

「あ、ありがとう」

　千夏がコーヒーを四つ準備すれば、それぞれの前に置く。

「で、先生。どうでした？　今日」