魔法の手に包まれて
 工房には電動ろくろが五台並び、作業用の大きな机、そして棚には器やカップなどの作品が綺麗に並んでいる。
 中学校の技術室を思い出させるような作りだった。
 
 作業用の机には、ほのかに湯気を立てているコーヒーが二つ、それから可愛らしいクッキーが乗っている小皿が一つ。
「それで、幼稚園の卒園製作のご相談でしたよね」
 それは千夏が事前に電話で伝えていた内容だ。今年、幼稚園を卒園する年長児のために、陶芸の体験をさせてあげたい、という内容。

「はい。お日さま幼稚園ですが、園児の少ない幼稚園でして。今年度の年長児も五人しかおりません。教諭も、年中担任と年長担任、それから園長の三人です」

「五人。それはそれは、少ないですね」

「えぇ、まあ。二クラス合わせて五人をきったら、休園になりますから。まだ一クラスに五人いるから、マシなのかもしれません」
 自嘲気味に笑う。幼稚園が休園になる、という話を耳にするたびに、どこか心がチクりと痛む。

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