魔法の手に包まれて
「どうぞ」
 紅茶の入ったカップを千夏の目の前に置いた彰良は、いつもの定位置に座った。
「こちらのお菓子も、開けてもよろしいですか?」

「あ、はい。先生のために買ってきましたので」

 ありがとうございます、と彰良が口にしながらお菓子の箱を開ける。

「へぇ、これは。美味しそうですね」
 彰良は手際よくお菓子をお皿の上にうつし、一つを千夏の前に差し出した。
「どうぞ」

「ありがとうございます」

 千夏が買ってきたお菓子は、マドレーヌとクッキーの詰め合わせだ。それをちゃっかりと二人分。それでもご相伴に預かれればラッキーという思いもあった。

「先生、先日は本当にありがとうございました。子供たちも楽しかったみたいで、幼稚園でもどんなお皿を作ったのかって、楽しそうにお話をしてくれるんですよ」

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