魔法の手に包まれて
 彰良の作品は、お皿が二枚とマグカップだった。どの作品もセットもので、もちろん一つでも使えるのだが、合わせると別な形を作り出すという、とても魅力的な作品だった。
「このお皿、一枚一枚が桜の花びらになっていて、合わせたら桜の花の形になるなんて、素敵じゃないですか」

「これは、あの幼稚園の園児たちを思って作った作品です。あの五人の園児たちですね」

「でも、売れちゃったんですよね……。私も欲しかったのに、残念です」

「ええ、私が買いましたから」

「え?」

「どうしても他の人に売りたくなかったんですよね。それをあの髭面に相談したら、だったらこれでも並べておけって、この赤い札を三枚渡されました」

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