魔法の手に包まれて
「どうして、この工房を開こうと思ったのですか? その、まだお若いのに……」
記者でもないのに、そう尋ねていたのは、純粋に千夏の興味。
「若い。そんな若い先生からそう言ってもらえると、嬉しいなぁ」
口調が崩れた。それが、なぜか千夏の心にズキっと刺さった。
「若いように見えますけどね、三十は過ぎてますからね」
「男盛りというやつですね」
「先生は子供だけでなく、男を褒めるのも上手ですね」
そこで彰良はカップに手を伸ばす。コーヒーを一口含むと、喉仏が大きく動く。それすら、千夏には新鮮な光景。
「それで、何の話でしたっけ」
「あ、その石川さんがこの工房を開いたきっかけ」
「そうそう。そうでした。ここを開いたきっかけですね。元々、ここは祖父の工房だったんです。幼いころから陶芸が身近な存在でしたがその祖父も私が中学生のときに亡くなりまして、一時期ここを閉じたのですが。どうしても祖父のようになりたくて、海外の大学で学び、師事を受け、そして昨年ここに工房を復活させたわけです」
「素晴らしいですね。その、情熱というか、気持ちというか。私には無いものなので、少し羨ましい……」
あまりにも熱い話を聞いてしまい、千夏の本音がポロリと零れた。
記者でもないのに、そう尋ねていたのは、純粋に千夏の興味。
「若い。そんな若い先生からそう言ってもらえると、嬉しいなぁ」
口調が崩れた。それが、なぜか千夏の心にズキっと刺さった。
「若いように見えますけどね、三十は過ぎてますからね」
「男盛りというやつですね」
「先生は子供だけでなく、男を褒めるのも上手ですね」
そこで彰良はカップに手を伸ばす。コーヒーを一口含むと、喉仏が大きく動く。それすら、千夏には新鮮な光景。
「それで、何の話でしたっけ」
「あ、その石川さんがこの工房を開いたきっかけ」
「そうそう。そうでした。ここを開いたきっかけですね。元々、ここは祖父の工房だったんです。幼いころから陶芸が身近な存在でしたがその祖父も私が中学生のときに亡くなりまして、一時期ここを閉じたのですが。どうしても祖父のようになりたくて、海外の大学で学び、師事を受け、そして昨年ここに工房を復活させたわけです」
「素晴らしいですね。その、情熱というか、気持ちというか。私には無いものなので、少し羨ましい……」
あまりにも熱い話を聞いてしまい、千夏の本音がポロリと零れた。