魔法の手に包まれて
「他人を羨ましいと思うときは、心が疲れているときですよ」

「え」

「私と先生は違う人間です。違う人間を比べて、他人を羨ましいと思うことは間違っています。冷静に考えればわかるのに、それでも他人を羨ましいと思うのは、そう思う余裕すらない、心が疲れているときなのです」
 作業机の上で両手を組んでいる彰良がニッコリと笑う。
「先生、お試しもかねて、ろくろを回していきませんか?」

「え」

「無理にとは言いませんが。それとも、勤務時間ですか」

「いえ、それは直帰することになっているので大丈夫ですが。むしろやらせていただきたいのですが、何も準備してきていません」

「そうですね。汚れるのでエプロンはこちらのをお貸ししますよ」

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