短編集(練習)
「悪い物から守ってくれる油」



戦争なんてどうして始まってしまったのだろう。



僕はマートっていうこの戦争地域に住む9歳の男の子。





マートが戦っている国は、どこか忘れてしまった。





だけど戦争が物凄い強い国だって事は身に染みてわかった。





それはこのマートの有り様を見ればわかる。





数十日前までは沢山の家があったはずなのに、今では焼け野原。





見るもの全て壊されていた。




もうマートが持つ領土も残りわずかだと風の噂で聞いた。




だけどそんな風の噂もこんな噂を聞くのが最後かもしれない。




なぜなら僕は両親とはぐれてしまい、敵国の兵士に捕まってしまったからだ。



沢山の僕と同じ境遇であろう子供達が沢山乗っているトラックに乗っている。




あるものは泣いたり、あるものは疲れ果てて寝ていたり。





そしてもう虫の息になって、生きているのかさえ分からない子供もいた。





そんな子供達をこの兵士達はどこへ連れていくのだろう。




トラックが止まり、筋肉がついた大男の兵士が「ここで降りろ」と命令してきた。





僕達は目隠しをさせられた。




しばらく歩くと目隠しを外され、風景が見える。




そこは鉄筋コンクリートで出来た部屋だった。





窓はなく天井に豆電球だけ。




しかも狭くてこの中にさっき乗っていた子供達を全員詰め込めるように入れるのだ。





本当はみんな嫌なのだろう。




だけど逆らえば殺される。




だからこそいう通りにしなければならなかった。





そして全員をその部屋に詰め込んだ後、大男は言った。





「全員服を脱げ」




聞き間違えるはずなどなかった。





ーー全員ここで服を脱げ?






ーーー「何故だ」「どうしてだ!!」





これにはさすがの子供達も黙っていなかった。





僕にも分からなかった。





生きては帰れない事ぐらいは分かっていたが、この命令は何を意図しているのか分からないからだ。




ひとりの少年が大男に摑みかかる。




だが相手は兵士だ。




その子が掴みかかろうとした瞬間、大男はその子の首を片手で掴みーー。





ーーグシャ。




首をへし折った。





これには流石の子供達も罵声を浴びせるのをやめ固唾を呑む。





「今から服を脱がなければ、この少年のように、殺す」





この少年のように殺すなど言われれば、もう従うしか方法がない。




子供達は急いで服を脱いで、それにつられて僕も服を脱ぐ。





そして服を全員脱ぎ終わった時だっただろうか?




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