離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
永嗣さんが手配してくれた業者さんに荷物をお願いして、彼の家で荷物を待つのかと思いきや、永嗣さんは「少し早いけど」と腕時計を見た。
昨日、スーツの時は銀色の金属製のベルトだったそれは、今日は革ベルトの少しカジュアルなものに変わっていた。
「早めに夕食に行かないか? 誕生日プレゼントにさせてくれ」
「えっ、と……いえ、昨日も奢っていただいてますし」
しかも、おそらく人生で一度きりの高級レストランだ。
「一生分のプレゼントいただいちゃった気分です」
私の言葉に「ふむ」と永嗣さんは首を傾げた。
「俺には婚約者の誕生日を祝う権利もないのか?」
「こ」
婚約者……!?
思わずフリーズした私の顔を、永嗣さんは覗き込む。
「寂しい」
鼻と鼻がくっついてしまいそうなほどの距離に、永嗣さんの端正な眉目!
「……!」
その顔で「寂しい」なんて言われて、果たして抵抗できるはずもなかった。