離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
それからしばらくして、その男は捕まった。再び現れたその男を逮捕してくれたのは、あのとき私を助けてくれたお巡りさん──徳重永嗣さんだった。
そうしてそれ以来……私は徳重さんの姿を探すようになった。
彼は駅前の交番に勤務しているようで、……けれど一度お礼に行ったきり、私は彼を遠くから見つめるに止めた。
背が高く、身体つきもがっしりとして、何より眉目がかなり整っている彼には、隠れファンがかなりいるようだった。
私以外にも、こっそり見つめている人がいる。その中には、年上の綺麗な女性なんかもいてちょっと羨ましくなってしまう。
(私には、可能性ないもの)
私はむくむくと育ちつつある恋心を意識しつつ、諦めとともにため息を吐き出す。
徳重さんは植木博正を逮捕するとき、こう言ったのだ──『こんな子供に、何を!』。
(子供)
私はそっと心の中で繰り返す。
子供なのだ、徳重さんにとって、私は。
つまり、私の恋心はどうやっても叶いそうにない。
通りすがりの小学生が、徳重さんに手を振った。彼は端正な顔を綻ばせ、彼らに敬礼を返す。
あれぐらいの年齢だったならば、私も無邪気に彼に懐けただろうに。
セーラー服が憎たらしい。
どうして私は高校生なんだろう。
大人に恋をするには幼すぎて、
子供として甘えるには大人すぎた。
中途半端な、大人になる途中の、幼い私。
そんなふうに過ごしているうちに、徳重さんは交番から消えた。転勤なのか、異動なのか──