離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
キスを何度も重ねながら、指で、舌で、風香を蕩かす。最初は耐えていた風香が、我慢しきれず高く甘えた声を上げることに慣れた頃。
「大丈夫か?」
俺自身、着乱れた姿でソファで風香にのしかかり、彼女の顔を覗き込み、聞く。風香はゆるゆると首を降り「なにか、飲み物……」とやや掠れた声で言う。
俺はワインをひと口含み、風香を抱き起こし、彼女の唇へキスで運ぶ。こくん、と彼女が酒精を飲み込む。こぼれた真紅が白い肌を伝って落ちていく。
それは乳房の間を通り、腰にかろうじて引っかかっているワンピースのレースの白い花弁をひとつ、紅く染める。
風香はそれに気が付かず、ただ紅い唇をちろりと舐めた。長く漆黒のまつ毛がわずかに震える。
俺は彼女の鎖骨に溜まる一滴を唇で吸い、首筋を舐め上げた。ひどく甘く感じる。あまり酔うことはないというのに、頭の芯からくらくらする。
「──あ」
風香が呟き、俺の肩を押した。
何かと思えば、風香が蕩けた瞳のまま、俺の首に猫のような舌をちろりと伸ばした。
俺にもワインが溢れていたらしい──風香の舌先は、空気で冷えて冷たいはずなのに、熱くて柔らかい。
その舌が、ちょうど俺の喉仏の上でちろちろ動く。柔らかく噛み付くように、彼女が喉仏を緩く食んだ──もう、限界だった。
「抱きたい」
あまりにストレートだっただろうか。
けれど風香は、俺をまっすぐ見つめ、はっきりと頷いてくれたのだった。