離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
誤魔化しつつ続ける。
「SPって、あの、政治家の方とかを護衛する?」
「はい」
不思議そうにもうひとりのSPさんが言う。
その人に向かって、私は疑問を投げかけた。
「あの、私なんかを護衛していいのですか?」
「はい。現在、ストーカー案件に巻き込まれていると聞き及んでおります。都知事のご家族に何かあっては……」
「ま、待ってください!」
私はパニックで少し早口になる。
「都知事って……」
赤信号で停車した車内で、SPさんふたりが顔を見合わせた。それから私に噛んで含めるように言う。
「徳重警視のお父様は、現都知事です。まさか、ご存知なかったのですか?」
絶句した。
(と、都知事……っ)
血の気が引いて行く。
私、そんな人に挨拶もせず結婚してしまったの……!?