離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~

「あら! 風香ちゃんの旦那さん」

「おつかれさまです。申し訳ないですね、こんなことになって」

「何をおっしゃいますやら。社会正義のためでしょう。いくらでもなんでも証言しますよ!」


 ニッコリと笑う原さんに「頼もしいことです」と会釈を返して、永嗣さんが私に向き直る。


「顔色が悪い」

「そんなこと」


 私が首を振ると、永嗣さんは思い切り眉を寄せた。


「ダメだ。すぐに人を寄越すから、家に帰っておけ。捜査員にまぎれて出れば大丈夫だろう。原さんも良ければ」

「あ、いいんですか!」


 いい加減帰りたかったんですよねえ、と原さんに言われれば断りづらい。ふたりとも分かってて言っている気がする。私は小さく頷いて、こっそりと支店を出たのだった。



 覆面パトカーの窓から夜の道を眺めながら思う。
 いつお別れの話をされるのかな。
 その時私は、笑えるだろうか。
 助けてくれてありがとうございましたと、笑ってお別れできるのだろうか?

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