離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
俺は彼女の指に自らの指を絡めて、彼女の唇にキスを落とす。
いや、落とすなんてものじゃない。
むしゃぶりつく、と言ってもいいかもしれない。
舌を絡めて誘い出し、甘噛みして吸い上げる。啄むように唇にキスしては、また口内を舌で蹂躙して。
風香の手のひらが、じんわりと湿る。
緊張か興奮か、あるいは両方か──
彼女の身体の中心もまた、とろとろと蕩けて俺を待っている。
どんな神の采配か、俺は彼女の最初の男になることができた。
願わくば、最後の男にもなりたい。
風香の身体を余すことなく知っているのは、未来永劫俺だけがいい。
「──だめだ」
唐突な俺の言葉に、風香がトロンとした顔で俺を見上げる。
「一人暮らしの男の家になんか、妻をいかせられるか」
「……え、でも、ヒロくんは」
「他の男の名前を呼ぶな」
どろどろと嫉妬が溢れてくる。
「きみは誰の妻なんだ」
「え、永嗣、さんの……」
蕩けそうになりつつも戸惑う風香に、苛つきと愛おしさが同時に湧く。
「分かっているなら」
かり、と唇を噛んだ。
甘く、けれど噛み切らない程には強く。
「俺以外の男の名前を呼ぶんじゃない」
べろり、とその唇を舐め、啄む。
風香が「でも」とそれでも抗おうとするから──俺は彼女をソファに押し倒してしまう。
「分からせてほしいみたいだな」
時計を外して、ローテーブルに置いた。ネクタイをしゅるりと外す。風香の手首にキスをして──その白い手首にネクタイを結ぶ。
「……あ」
風香が俺を見上げる。
形の良い唇が戦慄く。頬は真っ赤で、眉はきゅっと寄って──その瞳は、期待に満ちて潤んでいた。
「どうする?」
俺の言葉に、風香は小さく「いじわる」と呟く。
「分からせて──私が、あなたのものだって」
鼓膜が蕩けるかと思うほど甘い声。
俺の理性は、今度こそ焼き切れて。