離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
この部屋もまた、異様だった。
壁一面に風香の写真。引き伸ばされて貼られた卒業アルバムの印刷と思われる、小学生の風香。中学時代も、高校時代も──
「警察だっ!」
「え、ウソ、あたし本番はしてないってばあ!」
捜一課長の声に、ベビードールの女性がベッドから転がり落ちる。砂田は耳からワイヤレスイヤホンを投げ捨てるように外した。
「こ、こいつが変態なんだって! 金払いはいいけどっ」
慌てたように聞いてもないことを女性が喋る。
「好きな女……っていうかストーキングだよねこれね、その人の隠し撮り音声聞きながらヤんのが好きなのこの人ねっ! でも本当お金めっちゃいいからぁ」
俺は無視して砂田の肩を押さえつけ叫ぶ。
「風香はどこだ!?」
「へ!? ええっ、えっ、風香ちゃ、知らねえよ痛えよ離せって!」
「しらばっくれるな! 午後四時頃、どこにいた!?」
「よっ、四時頃!? こいつとここにいたよ!」
砂田の言葉に、一瞬茫然としてすぐに女に目をやった。女はこくこくと頷く。
「ちょうどこの人の舐めてた頃」
「そういうのはいらねえんだよ!」
捜一課長が女に向けた声に、茫然と立ち上がる。