離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
「どうなってんだ徳重」
「……っ」
こいつらは、嘘はついてない。
スマホが震える。緑色のアプリの新着通知に、風香かと開くと──科捜研の知人だった。
数日前にやっと入手した砂田孝雄の検体──髪の毛だったが──と、数ヶ月前風香のマンションのドアにかけられていた紙袋の中身、あれとのDNAが不一致だったという知らせだった。
「……お前じゃないのか?」
きょとん、と砂田は蒼白な顔のまま、首を傾げた。
俺は天井を見上げる。高校時代の風香の写真と目が──高校時代?
「もう、ひとり……」
声が震えていた。
もうひとり、いる。
風香に異様な執着を見せている人間が、もうひとり!
「植木博正……ッ」
思い出す。はっきりと。
高校時代の風香をストーキングし、接近禁止命令が出て執行猶予がつき、家族によって他地方に引っ越しさせられたあの男!
「徳重! どこに」
答えるのもまどろっこしく、マンションを飛び出た。
風香。
どうか、無事で──!